海外文学
こんにちは。 コルソン・ホワイトヘッド「地下鉄道」 2020年10月に文庫化されたばかりのこの作品。 ある奴隷少女コーラの逃亡劇を克明に記した小説なのですが、コーラの行く手を阻む残虐な追っ手の影がちらつき、ドキドキが止まらない!! また、その逃亡劇…
こんにちは。 カズオ・イシグロ「充たされざる者」 「遠い山なみの光」、「浮世の作家」で名を上げた彼が、「ブッカー賞」という周囲の期待からも自由になってやっと書いたのがこの作品。文庫本ながら厚さは約5センチ、900ページにも及ぶ超超超大作。手首が…
「モスクワの伯爵」 こんにちは。 サマーリーディングリストに入れておきながら、秋の夜長まで積ん読していました「モスクワの伯爵」 「チャーミングな伯爵のステイホーム生活」なんていう触れ込みでしたが、そんなに明るくはなくて、悲しい気持ちになります…
こんにちは。 9月発売の白水エクス・リブリス。 「忘却についての一般論」 一見すると哲学論か?と思われますが、れっきとした小説です。 原題は”Teoria Geral do Esquecimento”で、何語かはわかりませんが、 Teoria=Theory、Geral=General と容易に推測さ…
こんにちは。 9月発売のこちら。 エリフ・シャハク「レイラ最後の10分18秒」 読み終わった瞬間、「完璧だ!!!」と声が出てしまった完成度。予想以上に素晴らしかったです。彼女、「トルコで最も読まれている女性作家」だとか。 2018年のブッカー賞最終候補…
こんにちは。 ラーラ・プレスコット「あの本は読まれているか」 2020年3月発売。 書物が人の意識を変え、ついには世界を変える!そういう夢のようなコンセプトの「ドクトル・ジバゴ」作戦を成功に導いたCIAスパイのお話。ただ、出てくるのは「堅実なスパイ」…
こんにちは。 カズオ・イシグロの最新作「クララとお日さま」の発売(2021年3月)が地味に楽しみな今日この頃、短編集「夜想曲集」を読みました。 老歌手:離婚を前に最後の旅行する元スター歌手とその妻。「結婚によって成り上がかった」妻と、「若い女と結…
こんにちは。 ジョージ・オーウェル「動物農場」。あの有名な「一九八四年」の著者であります。 数年前までは古書でないと手に入らなかった本作。最近(といっても2017年)新訳されたそうで、多くの書店で平積みされているのを見かけます。いろんな出版社か…
こんにちは。 …100ページ弱まで読んでおもしろくなかった本、捨てるべきか、おもしろくなるのを待って読み続けるべきか、それが問題だ。 それっぽく言ってみましたが、格言でも何でもなく、私の日々の悩み事です。笑 本の虫あるあるかもしれませんが、みなさ…
こんにちは。 最近半沢直樹が流行りすぎていて、担当者会議なんかしようもんなら、とりあえず「タスクフォース」って言いたがるなどする今日この頃です。笑 個人的には前作のほうが好きでした。今作は視聴者サービスなのか、1話1倍返しを毎度入れ込むお祭り…
こんにちは。 ジョン・スタインベック「エデンの東」後半戦。 dandelion-67513.hateblo.jp 悪女と呼ばれたキャシーについて。 キャシー:前半はサイコ女。しかし、最後の最後「カワイソウな私」を武器に読者にトドメを刺す食えない女。キャシーは私の中では…
こんにちは。 ジョン・スタインベック『エデンの東』 映画も超有名だけど、おそらく原作も有名。BEST AMERICAN BOOKSにもランクインしております。本人は構想に25年をかけた超大作(全4巻)であり自身のライフワークと称しているそうですが、同じくスタイン…
こんにちは。 ポパイのサマーリーディング3冊目。 dandelion-67513.hateblo.jp ヘレン・マクドナルド『オはオオタカのオ』 期待以上の内容で超~満足。雌のオオタカにまっすぐな愛を注ぐ中で、父を失った主人公の女性が救いを得ていく過程を描いています。た…
こんにちは。 夏の風物詩ということでリタイアした本みっつ。 ベル・カント 実際にペルーであった、日本大使公邸占拠事件に着想を得た小説。映画化もされています。オビに映画のポスターがついてたから、ホソカワ=渡辺謙に脳内変換されてしまい、冒頭に出て…
こんにちは。 ジョン・クラカワー「荒野へ」 ポパイのサマーリーディング1冊目です。 dandelion-67513.hateblo.jp カポーティの「冷血」と同じようなものを期待して。 「冷血」がある程度時系列に事件を追っているのに対して「荒野へ」は「死」からの逆算で…
こんにちは。 エリック・マコーマック「雲」 日本にも多数のファンを抱えるこの著者。「変わった話が好きならコレ」と紹介されて読んでみました。トイレの花子さんを読み漁ったあの頃の幸せな記憶がよみがえってきました…! 主人公ハリー(60代)は、メキシ…
こんにちは。 メアリ・ウェストマコット…初めて聞く方も多いかと思いますが、こちら、アガサ・クリスティがロマンス小説を発表した時に使用していたセカンドネームです。アガサ・クリスティは、メアリ名義で計6作を発表しました。「アガサ・クリスティの名前…
こんにちは。 通勤中に読むのはミステリと決めています。線を引く個所もないし付箋も必要ない。眠くても、立っていても読める…2時間サスペンスを見るような気軽さで読めるので、大変重宝しています。ぼちぼち通勤地獄が始まったため、ここ数日で読んだ良作ミ…
こんにちは。 ハヤカワ・ミステリ文庫「エヴァンズ家の娘」。 いろいろな賞を受賞しているだけあって、構成も、盛り込まれたテーマも素晴らしい!女系家族×さびれた湖畔の家(別荘)×何十年も前に起きた失踪事件という組み合わせに興味を惹かれないひとはい…
こんにちは。 2018年の本屋大賞で翻訳小説部門第3位の「Giv:その犬の歩むところ」。(1位は「カラヴァル」) 「犬」小説ということで、開始5分で泣かされる。泣きどおしの作品でした。 子ども・動物・ラーメン(グルメ)は、数字の取れる特集だということは…
こんにちは。 カーソン・マッカラーズ「結婚式のメンバー」。(村上春樹訳・村上柴田翻訳堂) 裏表紙の内容紹介には、「南部の田舎町に暮らし、日々の生活に倦む12歳の少女フランキーが、兄の結婚式で人生が変わることを夢見て奇矯な行動に出る」というよう…
こんにちは。 ポール・オースター「ブルックリン・フォリーズ」 「サンセット・パーク」で目の覚める体験をし、「インビジブル」でう~んとなったポール・オースター3作目。すっごい期待して読み始めたんだけど、「サンセット・パーク」ほどの感動はなく、普…
こんにちは。 「ザリガニの鳴くところ」に続き、泣けるミステリ第2弾!(最近アタリが続いており、コチラも2020年で5本指に入りそうだけども…笑) ウィリアム・ケント・クルーガー「ありふれた祈り」です。 「あの夏の全ての死は、ひとりの子供の死ではじま…
こんにちは。 柴田元幸氏責任編集「MONKEY」第20号「探偵の1ダース」です。 私にとって雑誌とマスキングテープは集めるものという認識がありまして、こちらもややインテリアになりつつあるのですが(インテリアとしてもめちゃくちゃ優秀です)、ハズレもない…
こんにちは。 カポーティ「誕生日の子どもたち」です。 このブログで何度も触れていますが、私は村上春樹は苦手です。なんか好きになれない。作品というよりも、一部ファンのごり押し感が苦手。ハルキの複雑な世界観を理解できる自分マウントしてくる感があ…
こんにちは。 ディーリア・オーエンズ「ザリガニの鳴くところ」 久々に、衝撃を受けた作品。本の紹介をしていると、結構軽々しく「衝撃の結末!」って言葉を使いがちなんですが、こちらはガチのやつ。残り1ページでこれかよ!!と読んで半日へこむレベル。20…
こんにちは。 今年の3月に発売された、ポール・オースター「サンセット・パーク」です。 原著はリーマンショック後の2010年に発刊されましたが、日本で翻訳されるまでに約10年!!今の時代の若者の心を打つ文章の数々に、「もっと早く出会いたかったんですけ…
こんにちは。 ジョン・スタインベック「怒りの葡萄」 上巻までのあらすじはこちら dandelion-67513.hateblo.jp カリフォルニアに到着したジョード一家は、テント村(同じように職を求めて西に向かった人々が寄り集まっている場所。少ないお金で利用でき、水…
こんにちは。 ジョン・スタインベック「怒りの葡萄」です。超有名な作品で、若い頃にチャレンジを試みた記憶があるんですが、文章が冗長だったのか自分がバカだったのか、目が滑る滑る…。このたび(何年も前だけど)ハヤカワepi文庫で新訳が出たので改めてチ…
こんにちは。 今話題になっている本のひとつ、カミュ「ペスト」。カミュは「異邦人」にあんまり入り込めなかったのですが、コレは傑作!!!久々に本読んで感動を味わった気がする~! 最大のウリは、この本を読むことで「疫病を経験した先人」の視点から今…