はらぺこあおむしのぼうけん

読書、映画、ときどき漫画のレビュー。最新刊から古典まで。

早川書房

春になる前に読んでしまいたい心に冷たい風が吹きすさぶミステリ3選

こんにちは。 通勤のお供として重宝しているミステリ作品ですが、最近は引きが悪く、可能であれば避けて通る「残虐」ジャンルが続いてしまいました。しばらくは安心安全のアガサクリスティに逃避しようか悩んでいます。笑 桜も咲きはじめましたが、春になる…

鼻つまみ者刑事が直感をもとに謎に切り込む正統派ミステリー。今後のシリーズ展開にも期待「ストーンサークルの殺人」ハヤカワ・ミステリ文庫

こんにちは。 英国推理作家協会賞最優秀長篇賞 ゴールド・タガー受賞作。このミスでも高評価、続編の邦訳も決まっている絶好調のこちら。 ハヤカワ・ミステリ文庫「ストーンサークルの殺人」です。 タイトルはベタ過ぎますね。西村京太郎の「熱海・湯河原殺…

全く異質な2つの話を切り口に、日本人の死生観・信仰・国民性に深く切り込んだ超力作。「津波の霊たち」リチャード・ロイド・パリ

こんにちは。 2020年1月に文庫化されたばかりの「津波の霊たち」リチャード・ロイド・パリ 3.11の後に至る所で報告された「心霊現象」と、訴訟問題にもなった「大川小の悲劇」の二本柱で、全く異質なこの話を切り口に、日本人の死生観・信仰・国民性に深く切…

自分の「心」の在処は他人を介さないとわからないのかもしれない カズオ・イシグロ最新作「クララとお日さま」

こんにちは。 カズオ・イシグロ「クララとお日さま」 ノーベル賞受賞後初の長編です!! 長らく楽しみにしていたこともあって、一日で読み切ってしまいました。 早く次の長編が読みたい。笑 主人公はAF(人工フレンド=Artificial Friend?)のクララ。AFは…

モスクワの伯爵

「モスクワの伯爵」 こんにちは。 サマーリーディングリストに入れておきながら、秋の夜長まで積ん読していました「モスクワの伯爵」 「チャーミングな伯爵のステイホーム生活」なんていう触れ込みでしたが、そんなに明るくはなくて、悲しい気持ちになります…

驚くべき完成度、魅力的な登場人物…もし自分が小説家なら、こんな小説を書いてみたい!エリフ・シャハク「レイラの最後の10分38秒」(早川書房)

こんにちは。 9月発売のこちら。 エリフ・シャハク「レイラ最後の10分18秒」 読み終わった瞬間、「完璧だ!!!」と声が出てしまった完成度。予想以上に素晴らしかったです。彼女、「トルコで最も読まれている女性作家」だとか。 2018年のブッカー賞最終候補…