はらぺこあおむしのぼうけん

読書、映画、ときどき漫画のレビュー。最新刊から古典まで。

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

濃密な白い闇の中に引きずり込まれたような不快感と疲労感がクセになる カズオ・イシグロ「充たされざる者」

こんにちは。 カズオ・イシグロ「充たされざる者」 「遠い山なみの光」、「浮世の作家」で名を上げた彼が、「ブッカー賞」という周囲の期待からも自由になってやっと書いたのがこの作品。文庫本ながら厚さは約5センチ、900ページにも及ぶ超超超大作。手首が…

あの銀英伝が帰ってきた!!!「銀河英雄伝説列伝1」

こんにちは。 10月30日発売のこちら、「銀河英雄伝説列伝1」 ずっと前から予約して楽しみにしていました。予想通り数日で読み終わってしまい、再度銀英伝ロスに陥っている今日この頃。2はいつ出るのかな… 「列伝」は、銀英伝を愛する作家が、思い思いに銀英…

モスクワの伯爵

「モスクワの伯爵」 こんにちは。 サマーリーディングリストに入れておきながら、秋の夜長まで積ん読していました「モスクワの伯爵」 「チャーミングな伯爵のステイホーム生活」なんていう触れ込みでしたが、そんなに明るくはなくて、悲しい気持ちになります…

忘れられたいと思う事柄ほど忘れてもらえず、覚えていてほしい人には覚えていてもらえない ジョゼ・エドゥバルド・アグアルーザ「忘却についての一般論」

こんにちは。 9月発売の白水エクス・リブリス。 「忘却についての一般論」 一見すると哲学論か?と思われますが、れっきとした小説です。 原題は”Teoria Geral do Esquecimento”で、何語かはわかりませんが、 Teoria=Theory、Geral=General と容易に推測さ…