はらぺこあおむしのぼうけん

読書、映画、ときどき漫画のレビュー。最新刊から古典まで。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

謎の結社に絡む謎の出来事の秘密を暴く…「赤毛同盟」の詰め合わせ風味 チェスタトン「奇商クラブ」

こんにちは。 チェスタトン「奇商クラブ」 以前、とんでもないオチにやられたチェスタトン作品のリベンジ。「木曜日だった男」で受けた印象が最悪でしたから、「木曜日~の借りを返してもらいに来たぜ。次はないからな」という上から目線で読んでみました。 …

初めて「もし…」という言葉を使いたくなった歴史小説 ジャック・ヒギンズ「鷲は舞い降りた」

こんにちは。 「女王陛下のユリシーズ号」を読んでいたせいかAmazonが推薦してきたこちら。ジャック・ヒギンズ「鷲は舞い降りた」です。こちらはドイツ軍によるチャーチル誘拐作戦をつぶさに書いたルポ風小説。かっこいい男がたくさん出てくるという点では「…

冴えない人生×ホラ話×人生哲学…「ビッグフィッシュ」の前日譚 ダニエル・ウォレス「西瓜王」

こんにちは。 「ビッグフィッシュ」に続いて、ダニエル・ウォレス「西瓜王」です。 ビッグフィッシュの父エドワードの出身地アシュランドで起きたお話です。「ビッグフィッシュ」の中で触れながらも明快な答えを出せなかった、「なぜ人は自らを飾り立てずに…

面白みのない真実よりも、語り継ぎたくなる物語で彩る人生 ダニエル・ウォレス「ビッグフィッシュ」

こんにちは。 昨年読んだ「ミスター・セバスチャン~」の作者ダニエル・ウォレスの作品2つ。「ビッグフィッシュ」(と「西瓜王」) 一緒に紹介した理由は、「ビッグフィッシュ」と「西瓜王」がつながっているからです。「ビッグフィッシュ」の主人公の父エド…

世の中には一つとして「完全オリジナル」の小説は存在しない 「大学教授のように小説を読む方法」

こんにちは。 世界的に売れた本です。トーマス・C・フォスター「大学教授のように小説を読む方法」 世界的な文学作品の読み方を笑い転げながら理解できる本。今までのテクニックを試すためのテストと、巻末にオススメ本が難易度別に紹介されているのが素晴ら…

泣ける×いちいちかっこいい=やっぱりこういう小説はいい アステリア・マクリーン「女王陛下のユリシーズ号」

こんにちは。 アステリア・マクリーン「女王陛下のユリシーズ号」。映画化もされたようです。 ガンダムや銀英伝好きとしては、好きなジャンルの小説。ハッチとかタラップとかいう単語を聞いて、なんかかっこいい!と興奮する人にはたまりません。そして、泣…

感想はただ一言、「これが、若さか…」みずみずしさあふれる芥川賞(2002年)候補作 島崎理生「リトル・バイ・リトル」

こんにちは。 島崎理生「リトル・バイ・リトル」です。芥川賞候補にもなったので、結構有名な作品なのかしら。 久々に、出会いの妙を感じた本。運命の1冊になるようなこともないし、読み返すことも絶対ないけどw、ばったり昔の同級生と会って一晩語りあかし…

「もうそこらへんでヤメにしたら?」と言ってくれるかけがえのない存在の欠如。 カズオ・イシグロ「わたしたちが孤児だったころ」

こんにちは。 カズオ・イシグロ「わたしたちが孤児だったころ」 後半戦、いっきまーす。 dandelion-67513.hateblo.jp 後半戦へ行く前に、前回どんな終わり方をしていたかっていうと。 カズオ・イシグロ作品の特徴として、主人公の回想の中に思い違いや嘘が混…

ほとんどが幻想? 今までと同じアプローチでは読み難い作品。カズオ・イシグロ「わたしたちが孤児だったころ」前半戦

こんにちは。 前回、前々回に勢いづいて、カズオ・イシグロ「わたしたちが孤児だったころ」。抒情的な作品が続いたということもあって、結構イケるじゃんと思っていたのも束の間。今回は少し毛色が違います。やっぱり、カズオ・イシグロは難しい。一筋縄では…