はらぺこあおむしのぼうけん

読書、映画、ときどき漫画のレビュー。最新刊から古典まで。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

生きづらい女の切ない物語に、おばあの優しさが光を灯す 新潮クレスト「サブリナとコリーナ」

こんにちは。 カリ・ファハルド=アインスタイン「サブリナとコリーナ」 久々の新潮クレストブックスです。 ミステリにどっぷり浸かっていた数ヶ月の間に、また良い作品がいろいろ出てきたみたいで嬉しい。 ヒスパニック系コミュニティに生きる女達を描いた…

人生には、背を向けて立ち去るべき時がいくつかある。その時を見誤るとどうなるか「解錠師」スティーヴ・ハミルトン

こんにちは。 エドガー賞受賞作。 「解錠師」スティーヴ・ハミルトン ある事件がきっかけで話すことができなくなった少年マイクルが、刑務所で半生を振り返る。金庫破りになるまで、ある少女との出会い、そして今まで無効にしてきた数々の鍵たち。 ミステリ…

ゴシックミステリにおあつらえ向きな舞台装置を十分に生かせなかった残念賞「ホテル・ネヴァーシンク」

こんにちは。 アダム・オフォロン・プライス「ホテル・ネヴァーシンク」 アメリカ探偵クラブ賞 最優秀ペーパーバック賞受賞作。 昨年12月に発売されたばかりのこちら。年始に「2021年に読む本リスト」を作ったときの大本命。古いホテル×失踪事件×家族の秘密……

赦すことで得られる癒しの記憶を積み重ねること 「アーミッシュの赦し:なぜ彼らはすぐに犯人とその家族を赦したのか」

こんにちは。 久々のノンフィクション。 「アーミッシュの赦し:なぜ彼らはすぐに犯人とその家族を赦したのか」です。 ノンフィクションながら、胸に染みわたる作品。じっくり時間をかけて読みたい反面、ページをめくる手が止まらず、2~3時間で読み終わって…

ジョン・ハート「川は静かに流れ」

こんにちは。 「ラスト・チャイルド」の作者ジョン・ハート、こちらも高評価な「川は静かに流れ」です。玄関のポーチから川が見渡せる、という語りから始まるこの小説、舞台が良い。大きな川を擁する町って、それだけで絵になります。 Netflixで人気作品の「…