はらぺこあおむしのぼうけん

読書、映画、ときどき漫画のレビュー。最新刊から古典まで。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

不条理だらけの時代に生まれた若者たちへ贈る ポール・オースター「サンセット・パーク」

こんにちは。 今年の3月に発売された、ポール・オースター「サンセット・パーク」です。 原著はリーマンショック後の2010年に発刊されましたが、日本で翻訳されるまでに約10年!!今の時代の若者の心を打つ文章の数々に、「もっと早く出会いたかったんですけ…

いったん資本主義社会の歯車の一部となったら最後、一人の人間が為せることはほとんどない ジョン・スタインベック「怒りの葡萄」(下)

こんにちは。 ジョン・スタインベック「怒りの葡萄」 上巻までのあらすじはこちら dandelion-67513.hateblo.jp カリフォルニアに到着したジョード一家は、テント村(同じように職を求めて西に向かった人々が寄り集まっている場所。少ないお金で利用でき、水…

資本主義社会の中で改めて問う、神とは。罪とは。世界的名作の面目躍如 スタインベック「怒りの葡萄」(上)

こんにちは。 ジョン・スタインベック「怒りの葡萄」です。超有名な作品で、若い頃にチャレンジを試みた記憶があるんですが、文章が冗長だったのか自分がバカだったのか、目が滑る滑る…。このたび(何年も前だけど)ハヤカワepi文庫で新訳が出たので改めてチ…

ペストとは際限なく続く敗北である。そして繰り返す。 カミュ「ペスト」

こんにちは。 今話題になっている本のひとつ、カミュ「ペスト」。カミュは「異邦人」にあんまり入り込めなかったのですが、コレは傑作!!!久々に本読んで感動を味わった気がする~! 最大のウリは、この本を読むことで「疫病を経験した先人」の視点から今…