はらぺこあおむしのぼうけん

読書、映画、ときどき漫画のレビュー。最新刊から古典まで。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

川の上流を未来とみるか過去とみるか 新潮クレスト「帰れない山」

こんにちは。 新潮クレスト強化月間「帰れない山」です。 こういうたとえ話が出てきました。 雪解け水が流れる川の中に立ち、目の前にそびえたつ山を見ているイメージ。上流、下流どちらが未来か。どっちだと思いますか?おそらくどっちも正解なのですが。 …

男はメンヘラがお好き? 新潮クレスト「終わりの感覚」

こんにちは。 本作品は、4度目の候補でやっと受賞したブッカー賞だそうです。 私は日本人的価値観に毒されているので、「ついにブッカー賞!」とか書かれていると少し冷めてしまう卑しい読者です。筋を考えながら、推敲しながら、ずーっと「ブッカー賞!」と…

ブラックユーモアに満たされたロシア小説 新潮クレスト「ペンギンの憂鬱」

こんにちは。 ロシア文学は好きですか?チェーホフ、トルストイ、ドストエフスキー…私は超絶有名人しかしらないのですが、苦手なんですよね。全体的に暗くない?なんかこう、いつも曇天!みたいな。あと、ブラックジョークがきつい。チェーホフ・ユモレスカ…

最後の10ページ足らずのためにある300ページもの物語 カズオ・イシグロ「日の名残り」

こんにちは。 とりあえずノーベル賞受賞作家だし読んどく?という軽いノリで読み、衝撃を受け一気にファンになってしまったカズオ・イシグロ作品。 「わたしを離さないで」でも同様だったのですが、立ち上がりが緩慢なんです。(わたしを~ほどではないけれ…

本ばかり読んでいても真の幸せは訪れない…か? 新潮クレスト「ソーネチカ」

こんにちは。 前回、「ほかの本も読んでみたい!」ということで終わっていたコレ、読みました。 dandelion-67513.hateblo.jp 新潮クレスト「ソーネチカ」中編の中でもかなり短い部類。2時間もかからず読めますが、突き付けてくるテーマは重め。 本の虫で可愛…

誰からも好かれる人は誰をも愛する人 新潮クレスト「陽気なお葬式」

こんにちは。 新潮クレスト「陽気なお葬式」。個人的に新潮クレストはハズレを引くことがない作品として重宝しています。さらに、背表紙に統一感があり、装丁のデザインも素敵ということでコレクター魂を揺さぶられ、財布のひもが緩んでいくわけです。一冊一…