はらぺこあおむしのぼうけん

読書、映画、ときどき漫画のレビュー。最新刊から古典まで。

子どもを本好きに育てたい!という観点から読む「書店主フィクリーのものがたり」

こんにちは。

私もそうですが、子どもには本好きになってほしいと思っている親御さんはたくさんいるのではないでしょうか。想像力が養われるし、物知りにもなるし、孤独の慰めにもなりますね。本の存在に助けられたことは数知れず。

子どもはどうやったら本好きになってくれるかなぁ?と日々考えています。好きな本について語り合うのも良いし、本を貸し借りしたい。昔自分が集めた本に魅力を見出してくれたらなお嬉しい。

今のところ、

1。本を読む姿を見せる

2。本に触れやすい環境を作る

3。子どもの絵本を読みながら「これおもしろーい」とオーバーアクション(そうすると覗きこんできます)

はやっていますが、成果は出るでしょうか。

 

さて、「書店主フィクリーのものがたり」の作者ガブリエル・ゼヴィン氏も、大層幸せな本の虫だったそうです。小説を読むだけで伝わってくるんですよね、本への愛。本書を、「本好きの子どもを育てるには?」という観点から読んでみることにします。

 

dandelion-67513.hateblo.jp

 

はじめに、めくってすぐの謝辞のところ。

「私という人間の形成期に、諸々の本を与えてくれた両親に」

とあります。たくさん本を買ってくれた父親。昼休みに車で本屋に連れて行って、新刊は当日に手に入るようにしてくれた母親。そして会うたびに本を贈ってくれた祖父母。(財力よ…!)

出ました!本がそばにある環境作りですね。そして、本屋詣で。実際に本を手に取れる、読みたいと思ったらすぐに読めるメリットがあります。本を読むモチベーションが一番高いのは、その本を初めて知ったときでしょう。Amazonは手にするまでタイムラグがありますが、本屋さんでは買ったらすぐ読める。時間を作って本屋詣で。そして、ケチケチしないで本を買うこと。これ大切ですね。

私は、ブックオフに連れて行きたいなぁと思っています。最近の本屋さん、新聞広告に掲載されていたり、話題になっている本ばかりが平積みされていませんか? こちらとしてはもっさりした掘り出し物との運命の出会いを求めているんだけど、容姿端麗で話が面白く誰にでも愛されるイケメン本ばかりが並んでいますよね。そういう本は、お呼びでないんです。そんなイケメン本は、出張の時、新幹線で読む本を切らしているときに、品川駅で山手線から乗りかえする間に書店でさっと買うつもりだから別にいいんです。と、本屋に行っても新たな発見もなく手ぶらで店を出ることも多くなりました。その点ブックオフは安いし、掘り出し物が多いし、安いし最高ですね。

どこかで、「ゲームも飽きたので、子どもの頃の娯楽といえば本。しかし、新品を買うと1冊で小遣いが飛んでしまうので、古本屋の1冊100円コーナーの本をいっぱい読んだ」という子どもの頃の思い出を読んだことがあります。それ以来子どもを連れて行くならブックオフだな、と思っている私。ブックオフ最高。

 

次に、こんな台詞。

「おまえは読書が嫌いなんだね、といえば、子どもはそう思い込むものよ」

はい。これを逆手にとって、「あんたは本好きね〜」といいまくればいいのでは。そして、「小1でこんな本を読めるなんて!!!すごすぎ〜!天才!!ママはこれを小3で読んだのに(オススメ本をチラ見せ)」と虚実織り交ぜてオススメ本に誘導する手もあると思います。

昔聞いたのは、書斎にわざと連れて行って、「これは大人の本だからダメなのよ」と本を見せると、親が留守の時にこっそり忍び込んで読むようになると。そんな裏技も駆使しましょう。

 

最後にこの会話。

「白鯨はお好きですか?」

「大嫌い。あれはまず学校の先生の推薦でしょ。親たちは、わが子がなんだか高級なものを読んでいるのでご満足なわけですよ。でもそんなふうに読書を強制すると、子どもは本嫌いになりますよね」

 

「白鯨」って読んだことあります? 私もいつかレビューしたいと思っているのですが、まぁ、評価される理由がよくわからない。ネタなのか本気なのかよくわからんのです。

海外でも推薦図書みたいなものがあるんでしょうか。小説内では、白鯨が槍玉にあげられているんですよね。例えば、フィクリーとある女性の食事シーン。女性が、フィアンセについて「彼はいい人なんです」と言うんですね。そしたらフィクリー、「それは大事なことだ。完全な人間なんていないから。おそらく誰かが、高校時代、彼に『白鯨』を読ませたんだな」と言い放つなど。子どもの敵扱いされています。

 

話はそれましたが、最後の教訓は、本を読むことや読む本を強制しないことです。

いつも思うんだけど、推薦図書って対象年齢から見たらつまらない本多くないですか? 推薦図書を買ってもらえるような中流家庭以上の子どもは金銭的な苦労を知らないことが多い。そんな子どもに教科書的な苦労話を読ませても、そんな体験がないからわからないんです。それを想像させるための本かもしれませんが、まぁつまらない。

読書感想文も悪習ですよね。推薦図書で読書感想文書こうとしても、共感できない本を読まされた挙句、かっこいいことをいわなきゃないなんて、無理。感想が出てこないんです。中学生で人間失格読んで感想文書いていた子がいたけど、中学生であれに共感できるって、早熟なのか中二病なのか、もはやわかりません。私は社会人にならないと人間失格の良さがわからなかったなぁ。

 

とまぁ、3つ挙げました。ぜひ意識してみましょう。

 

蛇足ですが。私は、母を反面教師にしています。ダメな例を紹介しますね。

母は、最後の二つを忠実にやり遂げていたため、大の本嫌いが完成しました。推薦図書を押し付けては、それを放り出した私に、「お前は本嫌いだ!」と暗示。

母の監視下でなくなってからミステリーやエロい話を読み始め、本って自由!めっちゃ面白い!と感動。推薦図書と伝記ばかり押し付けられていた私は、書籍において、殺人や性描写など、過激なシーンは規制されていると割と本気で思っていたのです。

あと、やってはいけないのは、人の読んでいる本を批判することです。「パパは歴史小説ばっかり読んでいるから人の気持ちがわからないんだ!」と父の愚痴を聞かされていました。人の本の趣味を批判してはいけない以前に、夫婦の問題を子どもに押し付けてはいけません。そんな母はどんな崇高な本を読んでいたかというと、吉本バ○ナとか林真○子(ファンの人のごめんなさい)、夢占いの本、痩せる本…人のこと言えた義理か!!!と。大人になってから父の本棚を見て、司馬遼太郎宮部みゆき、いいじゃん。父もいい趣味してるじゃんと思ったものです。

 

さて、長々と書いてしまいましたが、本書の教えを参考に、また、見も知らぬ私の母親を反面教師にして、是非是非共に、読書大好きっ子を育て上げましょう!

子どもと一緒に読書を楽しむためにやっていることがあったら教えてください!!

 

おわり。

 

書店主フィクリーのものがたり (ハヤカワepi文庫)