はらぺこあおむしのぼうけん

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トシ&近藤バッテリーの崩壊「燃えよ剣」

さて、燃えよ剣上巻も終わりです。

 

 

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

 

ここでは近藤さんについて。銀魂の近藤さんは男にもてるタイプですね。男気があって、懐も深くて好きです。

普段はお妙のストーカーしてますが、燃えよ剣では所帯を持っていて、娘もいます。でも、奥さんはガサツで愛想もなく、土方は彼女が苦手。料理下手という設定があって、何を作ってもダークマターになってしまうお妙を彷彿とさせますw

 

ご存知の通り、土方と近藤は手を組んで、新選組のトップにのぼりつめます。その道は暗殺に次ぐ暗殺ですが、土方はうまく近藤さんを担ぎ、自分が憎まれ役を一手に引き受け、新選組を切り盛りしていきます。土方は近藤さんの恋女房。

近藤さんは良くも悪くも素直。そして、影響されやすい。土方が毎度毎度叱咤激励して舵をとっています。結成当初は周りが味方なんだか敵なんだかよくわかりませんから、土方と同門の少数の仲間と一緒に慎重に行動します。「トシ、どうすべぇ」とか、「トシ、どう思う?」とか、「なぁ、トシー?」とか、銀魂そのもの。

しかし近藤さん、新選組トップになりいろんな人におだてられ、政治方面に明るい人たちと交わるようになってから、田舎育ちのコンプレックスもあるのか、急に自分を大きく見せようとし始めます。大名の格好をしたりいい馬に乗ったり、妾を3人も囲ったり。また、学がないのを補うように手習いを始め、いろんな本を読んだり偉い人の話を聞いたりして、議論好きになってきます。新選組の地位が上がっていくのに伴って、自分もすごい人間になっていると錯覚するんですね。まぁ新選組局長だから十分偉いんだけど。

 

天下の新選組といっても幕府そのものが危ういご時世ですから、あまりにも身の丈に合わないことばかりしていると、いつか足元を掬われるだろう懸念する土方は、浮き足立つな、兜の緒を締めよと忠告します。しかし、なかなか聞き入れない。

 

そして伊東甲子太郎登場。伊東鴨太郎のモデルですね。色白イケメン男児。それに賢い、政治方面に明るいときている、土方がもっとも嫌う存在w 彼は新選組を乗っ取るつもりで入隊してきます。

 

近藤は伊東を先生、先生と呼び、完全に崇拝しきっています。九州まで一緒に出かけて志士たちと交わり、そして聞きかじったことを披露して、新選組をただの警察ではなくて政治集団にしようとします。

土方は新選組がもともと喧嘩屋の集まりなのを百も承知ですから、そんなことは俺たちには無理だと主張し、ここでぶつかるわけです。

時勢に合わせて新選組は変わっていくべきか、それとも大義を忘れず初志貫徹するか。変わるほうを選べば当然伊東が局長になりますから、土方としても近藤としても勿論ノーです。それならば早めに法度にかけて切ったりすればいいのですが、なかなか近藤は決断できず、最悪の形で袂を分かつことに。

 

土方は土方でいろいろ欠点がありますから、それを近藤さんが補ってよいバランスを保っていましたが、だんだんその二人三脚が成立しなくなるんですね。伊東の策略で土方が除け者にされていき、新選組が割れかけます。そんな頃、土方が暗殺されかけて…

まさに新選組動乱篇…!

 

さて、下巻へ。

伊東は暗殺しましたが、大政奉還から鳥羽伏見の戦いが始まります、開戦前から新選組はガタガタに。まず、土方の反対を押しきり、出陣の前夜に隊士を家に帰したせいで隊士の多くが脱走します。また、「軍備増強を嘆願する」と勝手に隊を外れた近藤さんは伊東の元監察篠原に討たれ重症を追い、戦線離脱。

 

土方は、近藤さんは凧のような人と評します。風向きがいいときはどこまでも昇っていけるけど、風向きが悪くなるとダメになる。ピンチのときにどう振る舞うべきかがわからなくて浮き足だってしまうんです。

おいー!!トシの言うことを聞いておけば…!となります 沖田も結核が悪化し一旦戦線離脱、近藤と大阪に療養へ。

しばらくはトシの孤独な戦いが始まります。

 

おわり。