はらぺこあおむしのぼうけん

読書、映画、ときどき漫画のレビュー。最新刊から古典まで。

子どもを育てることのきほんの「き」ときょうふの「き」 映画「ルイスと不思議の時計」

こんにちは。

 

ナルニア好きの私には予告動画だけでたまらない作品です。いい!最高!

ルイスと不思議の時計 [AmazonDVDコレクション]

 

事故で母と父を亡くした少年ルイスは、母の弟のジョナサンに引き取られることに。化け物屋敷と呼ばれている古い屋敷で暮らし始めたルイスは、ジョナサンが魔術師であること、何かと世話を焼いてくれる隣人のティマーマンさんが魔女であること、屋敷の前の主には秘密が隠されていることなどを知る。ジョナサンはルイスに、「封印されている棚だけは開けてはいけない」ときつく言いつけたが、ルイスはその言いつけを破り、封印された棚を開け悪い魔術師を復活させてしまう。世界滅亡を目論む魔術師の野望を阻止するために奮闘する3人!

 

最高です。「広い屋敷」「不思議な仲間」「屋敷の秘密」そして「悪魔と契約した魔術師」などなど、ナルニア国物語を彷彿とさせる、ファンタジー映画のあるあるてんこ盛り!特に、よくわからないものであふれた古い屋敷に越してくるなんていうのは、小さいころキャスパーを何度も見た私からしたら胸躍る展開なわけです!

 

ハラハラドキドキの子ども向け作品かと思いきや、ちょっと涙ぐんでしまったシーンのお話。

言いつけを破ってしまったルイス。ルイスに裏切られたと感じうなだれるジョナサンにティマーマンさんはこう声を掛けます。「間違えたり、厄介なことに巻き込まれたり、それが子どもよ」。ジョナサンは初めて子どもと接するわけで、どう扱っていいかがわからない。そして保護者として責任も感じている。「ルイスを引き取るんじゃなかった。ルイスを、どうやって守ればいい?怖いんだ、彼に危害が及んだら…」と返すジョナサンに、「そこが一番大事なポイントよ。子どもを持つということは、いつもその怖さにおびえながら、それでもやるしかないということなの」と叱咤します。

実はティマーマンさん、魔女にありがちなオールドミスかと思いきや、過去に夫と子を殺されたことがあり、そのせいで臆病になっています(ただ、詳しくは明かされません。民放ドラマにありがちな低クオリティの再現シーンを見せられるのが非常に不愉快な私としては、こういう謎のまま終わらせる展開はGOODです。余談。)

 

さて、子どもを持つことはとかくハッピーに描かれがちですが、「恐怖」について取り上げているのは、おお!よくぞ言ってくれたな!という感じ。子どもをもつことは、自分の管理しきれない命を抱えることですから、怖くないわけなんてない。

 

思い出すのは、「海を照らす光」で見つけたこんな言葉。

安産だったことは、そのあとに続く不安な長旅の第一歩でしかない。

dandelion-67513.hateblo.jp

あとは、「リンカーンとさまよえる霊魂たち」

私たちが愛する対象は小さく、弱く、傷つきやすく、私たちに対してしか保護を求めることができない。その保護を何らかの理由でしくじったとしたら、どのような慰めが(どのような正当化が、どのような弁護が)あり得るだろう。

dandelion-67513.hateblo.jp

 

事故や事件を耳にするたびに胸を痛め、いじめ問題に胸を痛め…辛いニュースを見ると落ち込んだり。自分だけが気にしすぎなのかと思っていましたが、ちょっとだけ勇気をもらいました。そして、それでもやるしかないのが親だと。

 

他にも、「この世に問題はいろいろあるけれど、おいしいチョコチップクッキーで解決できない悩みはほどんどない」など、素敵な言葉満載で、大人だって癒されるんだ…!!

もちろん、ストーリー、逆転劇、役者陣の演技、屋敷のセットの素晴らしさは一級品。ぜひ、夜9時から、金ローを見る感覚で家族そろって見てほしいな。

 

おわり。