待てば海路の日和あり?「あと1センチの恋」
幼馴染の恋物語。
なかなか結ばれなくて本当にもどかしいんだけど、なんと約12年!ハッピーエンドなので安心してください。笑
ロージーとアレックスは小さい頃からの友達で、いつか田舎町を出て大学はボストンに行こうと約束し、二人とも大学に行くことになるが、しかしロージーはクラスの男子と関係を持ち、妊娠してしまう。アレックスはボストンへ。ロージーは町に残り子育てをすることにする。
実は両思いなのに素直になれない照れくささ、若くして母親になったロージーが同世代の女の子に対して抱く劣等感。大きな事件は起きないんだけど、わかるわかるわかるーーー!ってなる。
とにかくすれ違いの12年。
一番印象的なのはロージーがアレックスに告白する場面。アレックスから、ボストンに遊びにおいでと言われたロージー。アレックスが昔自分のことを好きだったことに気づいているから、もうここは言ってしまえ!と告白するわけ。この一連の流れ、恋ってタイミングなんだよなぁと改めて。
本作のテーマ、というか大きな鍵みたいなものは、「抑えていた欲望はどうなるか」ということかな。
叶えたい夢があって、叶えようと努力したけれども(もしくは怖くて途中で諦めたけれども)、結局ダメで、再トライする気力も勇気もなくて、どうしても得られなかったものって誰にでもあると思う。
その叶えられなかった夢を消化するために一番やってダメなことは、その想いにすぐフタをすること。破れた夢を見て見ぬ振りして、次の拠り所をを探すこと。
フタをされた思いは、消えるどころか、心のゴミ箱の中で熟成されて、自分を悪い方向へ導いてしまう。自分の本当に欲しかったものをバカにしたり、今持っているものに必要以上に執着してしまったり。
自分の身に悲しいことや理不尽なことが降りかかった時には、どこかの自己啓発本なんかから拾ってきた「その出来事には意味があると思え」とか、「乗り越えられるから試練を楽しめ」みたいなことを即実行してしまいがちだと思うんだけど、やっぱりそんなに単純じゃないんだよね。
悲しみに正面から向き合う。
泣いて取り乱したりする。
時間が経過したり、自分の中で消化しようとする。
このステップを自ら越えた結果のポジティブシンキングなのであって、この過程をすっ飛ばしたとろこで生まれるのはカラ元気。
このステップをすっ飛ばしてしまうと、結局は何年か後に、20倍くらいの威力を持った消化不良の悲しみと向き合わざるを得なくなる。そして、大切なものを失ってしまう。
悲しいときはぜひ泣きましょう。
悲しみから目をそらさずにね。
でも、ロージーが変な男と結婚してしまったところとか、アレックスに遊びにきてと言われて飛び出してしまったところ、勇み足で告白してしまったところ、大変大変共感できる。「もう待つのに疲れた」とか、そうそうそうそう!!!ってなる。
とはいえ、心が弱っているときにする恋愛ほどろくでもないものはないんだけど、まぁそういうところは理屈じゃないしね。
私としては、「とりあえず好きって言っとけ!!」と思うことの連続だったんだけど、それは衝動的な破壊みたいなものでもあって、それはそれでうまくいかなかったのであろうとは思うけど。
何度でもいうよ、
恋は、フィーリング、タイミング、ハプニング
と、いうお話。
ぜひ見てみてね。
おわり。